Hiroshima Symphony Orchestra

文化庁委託事業「平成28年度戦略的芸術文化創造推進事業」

フラグシップ・コンサートについて

2020年に向けて

2020年に向けて

東京オリンピックが開催される2020年に向けて、国際平和文化都市であり世界的な認知度を持つ「広島」のオーケストラとして、世界に音楽文化と平和発信する5カ年計画を企画し実現に向けて取り組んでまいります。2020年が生誕250年となるベートーヴェンの作品で、文化芸術を高らかに奏でることにより、文化の祭典としてのオリンピックを盛り上げたいと考えています。

事業の指針

以上の事業指針のきっかけとなったのは、ショパン国際ピアノ・コンクールで深くポーランドと係わりを持ち、「原爆投下とホロコーストを第2 次世界大戦でのもっとも恐ろしい犯罪」とし、”Music Against Crime” - 「音楽は人を愛することを育み、人を傷つけさせる気持ちを萎えさせる⼒」と言うマルタ・アルゲリッチ氏(広響平和音楽大使)の信念と当団のテーマ、 “Music for Peace”が共感したことに因ります。

寄稿文「フラグシップ・コンサートに寄せて」

文: 広響平和音楽大使マルタ・アルゲリッチ秘書 佐藤正治

2017 年 2 月 16 日のコンサートには「日本・ポーランド プロジェクト 2016-2020」という副題がついています。

広島交響楽団は 2016 年 7 月 23 日の「ピース・アーチ・ひろしまクラシック・コンサート」でポーランドのシンフォニア・ヴァルソヴィアの 23 名と共演しました。 そしてそこで共演したヴァイオリン奏者とフルート奏者が再び広島交響楽団の客演奏者に招かれ、このフラグシップ・コンサートに参加します。

広島がワルシャワと一緒にオーケストラの音楽交流を通じて 2016 年から 2020 年まで平和発信のメッセージを継続的にアピールしようという「日本・ポーランド プロジェクト2016-2020」の構想は、すでに 2014 年から関係者の間で話し合われていましたが、その構想を聞いたマルタ・アルゲリッチは、一刻も早く広島交響楽団と共演し、Music for Peaceの活動に参加したいと望みました。
それが 2015 年 8 月の広島と東京における広島交響楽団の「平和の夕べ」コンサートです。コンサートの合間にポーランドのアウシュヴィッツと広島の原爆投下を語った朗読が入りましたが、それはプログラム中に朗読を加えることで悲劇の記憶を鮮明にしたいというアルゲリッチの考えを反映したものでした。

広響との共演に深く共感したアルゲリッチは,音楽家が広島に来て広響と一緒に音楽を創ること=Music for Peace の重要性を世界中の音楽仲間に伝えています。2015 年 12 月にアルゲリッチは広響から平和音楽大使のタイトルを授与されました。そして彼女のマネージャー役を 40 年以上にわたって務めてきた私が平和音楽大使秘書に任命され、海外の客演奏者を招く仕事で広島交響楽団に協力しています。

ポーランドに限らず世界各地のオーケストラ団員に来広してほしいというアルゲリッチの願いを反映して、広響はこのフラグシップ・コンサートにカナダのモントリオール交響楽団からコントラバスとホルンの首席奏者を客演奏者に招きました。

ワルシャワとモントリオールのオーケストラは共にアルゲリッチが度々共演を重ねてきたこともあり、またモントリオールが広島の姉妹都市であることも手伝って、両楽団とも広響の Music for Peace プロジェクトに対して、大きな共感を持って快く賛同してくれました。

私はアルゲリッチがそうであったように、音楽家が広島で広響と Music for Peace の共同音楽創造に参加することは、何か特別な共感を呼び覚ますに違いないと考えています。広島における体験がワルシャワとモントリオールの家族や仲間に伝わり、広島の平和構築活動が幅広く知れ渡るでしょう。

ここで特筆すべきことは、海外の音楽評論家・ジャーナリストが多数このコンサートに招かれている事です。したがってコンサートの芸術的成果および広響の Music for Peace 事業が海外のメディアに数多く掲載される可能性があります。

このコンサートが成功することを願うと同時にこれから先に以下のようなシナリオを想像しています。

  • Music for Peace に共感する 海外のオーケストラが、広響との共同音楽創造を望み、毎年にフラグシップ・コンサートが実現する。
  • 広島での音楽体験や市民との交流を気に入った各国からの客演奏者が再び来広の機会を望む。
  • そのような奏者たちが一堂に会して、広響を母体とする広島国際平和交響楽団(Hiroshima International Peace Orchestra)が結成され、広島その他の都市で「平和の祭典」コンサートを実施、2020 年東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムに位置付けられる。
  • シンフォニア・ヴァルソヴィアとの連携を継続する広響が、2019 年の日本・ポーランド外交樹立 100 周年にポーランドに招かれ、ワルシャワ等の各都市で合同演奏会を実施する。